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玉虫塗

玉虫塗は、銀粉を使用して独特の美しい輝きを生み出す漆器の技法であり、仙台で開発されました。この技法は、昭和7年(1932年)に仙台で初めて試みられ、試行錯誤を経て完成しました。

従来の金粉や金箔を使った塗り技法に「白檀塗」がありましたが、玉虫塗は新しいアプローチとして銀粉を使用し、銀の光沢が透けて見える効果を生み出しました。一般的な漆器の仕上がりは、漆の性質上、色が沈んで暗くなる傾向がありますが、玉虫塗では透明な漆に銀粉を撒き、染料を加えることで光の反射と透過を利用し、輝きのある仕上がりを実現しました。

玉虫塗は、その美しさと独特の光の表現から、仙台の特産品として知られるようになりました。1985年には宮城県の「伝統的工芸品」に指定され、伝統的な工芸品としての価値が認められました。

また、玉虫塗は進化を遂げており、2012年には新たな塗装技術である「ナノコンポジットコーティング」が開発されました。この技術はナノレベルの塗装であり、強度が向上し、傷がつきにくく、紫外線にも耐性があります。この新技術により、玉虫塗はより耐久性が高まり、さまざまな用途に利用されるようになりました。

現在、玉虫塗は伝統的な漆器の制作だけでなく、さまざまな商品に応用されています。例えば、東北楽天ゴールデンイーグルスの選手用ヘルメットの塗装にも使用され、その耐久性や美しさが実証されました。

漆は日本の古くからの伝統的な技法であり、玉虫塗はその中でも特に美しい発色と光沢が特徴です。光の加減によって微妙に色合いが変化

し、豊麗な色調を持つため、「玉虫塗」と名付けられました。

東北工芸製作所は、1939年に玉虫塗の特許実施権を取得し、国内および海外向けに多くの商品を製作してきました。伝統的な品々の制作に加えて、現代のライフスタイルに合った新しい商品の開発も行っています。

玉虫塗は、日本の伝統的な工芸技法の一つであり、その美しさと独自の技術によって多くの人々に愛されています。

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