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トレッドウイール・クレーン

トレッドウイール・クレーン(Treadwheel crane)は、木製の人力によって上下運動を行う装置です。このクレーンは主に古代ローマ時代や中世において城や大聖堂の建設に使用されました。トレッドウイール・クレーンの内部に入った人が歩くことで、重い荷物を持ち上げたり降ろしたりすることができます。ロープは滑車に取り付けられ、車輪の回転によってスピンドルに巻かれ、その結果、装置は荷物を持ち上げたり降ろしたりすることができます。

古代ローマ時代には、四人の人がウインチの両側で作業することで、ポリスパストン・クレーン(Polyspaston crane)は最大で3000キログラムの重さを持ち上げることができました。ウインチがトレッドウイールに置き換えられた場合、クルーの半分だけで最大6000キログラムの荷物を持ち上げることができました。このため、古代エジプトのピラミッドの建設では50人が2.5トンの石を坂道を登って運ぶのに必要でしたが、ローマのポリスパストン・クレーンの持ち上げ能力はその比較で60倍効率的でした。

中世に入ると、トレッドウイール・クレーンは西ヨーロッパで使用が廃れた後、大規模に再導入されました。1225年頃にフランスの文献に初めて言及があり、1240年頃のフランスの写本にも描かれています。航海では、1244年のユトレヒト、1263年のアントウェルペン、1288年のブルージュ、1291年のハンブルクで港のクレーンの初使用が記録されていますが、イギリスでは1331年以前には記録されていません。

トレッドウイール・クレーンは主に港湾、鉱山、特に壮大なゴシック建築の建設現場で安全かつ費用対効果の高い垂直輸送が行われるために使用されました。しかし、当時の文書や絵画の記録からは、トレッドウイールや手押し車などの新しい機械が従来の労働集約的な方法(は

しごや手での持ち上げ)に取って代わったという証拠はほとんどありません。これらの新しい技術や機械が徐々に普及していったと考えられています。

中世のトレッドウイール・クレーンは主に垂直方向の昇降作業に使用され、大きな水平移動は設計されていませんでした。石材を直接現場に持ち上げるか、建物の異なる場所で作業しているチームに石材を運ぶために使用されました。クレーンのマスターはクレーンの外に立ち、荷物の動きを小さなロープで横方向に制御することができました。14世紀には荷物を回転させることができるスルーイング・クレーンも登場しました。

日本の歴史においては、トレッドウイール・クレーンの使用はあまり記録されていません。日本の建築現場や港湾におけるクレーンの使用は、独自の発展を遂げてきました。しかし、世界の他の地域で使用されたトレッドウイール・クレーンと同様に、人力での上下運動や荷物の持ち上げといった基本的な原理は、日本の建築や港湾の作業にも応用されていた可能性があります。